7月になったばかりの朝から、夏の知らせのように公園でセミが鳴いていた。
幼少の頃の真夜中、蛍光グリーンに光るような羽化を見てから嫌いになれないんだよな。
夏なので明るい色が着たくなりますよねという意見をよそに、また黒い服ばかり買う。
こうしないと気分が上がらないからと言い聞かせ、黒のサンダルも買った。
そればかりは差し色が入っているから夏らしいでしょう。
祭りでもなんでもない日に浴衣を着て、カレーやらレモンやらを頬張り、
奇怪な幻想的な城を想像しながら、夏は楽しいことで忙しないななどと話す。
海の近くへ行ったあの日も、
ウソみたいな、または絵に描いたようなソフトクリームが乗ったメロンソーダを飲み干して、
わざと「エモい」などといった言葉を発しては足も心も駈けていた。
7月22日。チャットモンチーが完結した話。
学生服を着ていた10年前の私は、授業で作らされたラジオを大変気に入っていて、夕飯後自室にこもってラジオをよく聴いていた。
その当時、22時から始まるスクールオブロックという番組から流れてきた「世界が終わる夜に」という曲で彼女たちを知った。
片手で数えるぐらいにしか音楽に出会えていなかった小さなiPodには、
いくらシャッフルしてもチャットモンチーの音楽ばかり流れてくるような生活をしていた。
爽やかな映像が頭の中で流れるような歌詞は、言葉を紡ぐことが好きな私に影響を与えるものでした。
3年前に野外フェスの真夏の真昼間に「ツマサキ」のアコースティックバージョンが演奏されたとき、
演出か偶然か今でもわからない少量のシャボン玉が流れてきた光景が幸福すぎてずっと覚えている。
そして先週末、ラストライブでは泣かずに見届けられるかもと思っていたけど、
えっちゃんがツマサキを歌う途中で泣きながらマイクから離れたので、私も目からボロリと涙がこぼれてしまった。
阿波踊りと、すだち酒で乾杯の声で完結したチャットモンチーのことは、
ずっとこれからも好きだなあと、今日も歌を聴きながら思うのだった。